TECHNOLOGY 技術情報
S-CrN（Super- Chromium Nitride）
S-CrNとは、CrNに更なる添加元素としてAl(アルミニウム)とSi(シリコン)を加えたで硬質膜で、産業工具分野においてS-TiAlNより高い要求に答える4元系硬質複合薄膜です。
Cr系複合膜で膜硬度や耐熱性が非常に高くドライ環境や特殊な使用用途で採用される工具へのPVDコーティング膜となります。
S-CrN膜はHV3600程度の高硬度膜であり、優れた耐摩耗・耐食性に加え1200℃を超える耐熱性を有しています。
ドライ環境やより要求品質の高い塑性工具類への要求に開発されたコーティング膜です。
Cr系で優れた高硬度・耐摩耗・耐熱性を有していることから特殊用途に用いられる塑性工具や切削工具に採用されています。
S-CrN（Super- Chromium Nitride）の特長
S-CrNはクロム系複合膜で硬さHV3600程度を有しています。1200℃を超える優れた耐熱性と耐摩耗性により特殊用途に採用されています。
成膜時に形成されるドロップレットはラッピング磨き処理にて提供が可能です。また、刃具の刃先形状の最適化としてドラックフィニッシュによるホーニング処理も提供致しております。
4元系複合膜の優れた高硬度・耐熱・耐摩耗性のクロム系複合膜であり、そ被覆対象品の形状や用途に応じて元素配合比率を調整することで最大限の機能を発揮することができます。
Cr系スタンダード膜 弊社Cr系のラインナップ
ラインナップ
◆S-CrN 硬度HV3600程度
一般的なARC方式での成膜となり、摺動部品としての採用の際はラッピング処理も提供致します。除膜・再処理も対応致しますのでご相談下さい。
【ご相談下さい！】
※特殊用途に用いる場合は機能を最大限に発揮するため4元素比率を調整する事が可能です。ご使用になられる部品環境に応じて弊社独自の加速耐久試験より最適なS-DLC膜を提案致します。
Cr系の4元素複合膜
事例紹介
パンチ
様々な金属のドライ塑性加工をするパンチに耐摩耗性に優れたTiNに低摩擦特性を有したTiCN膜が採用を提供しており、ドライ環境での高温に耐える改良膜としてS-CrNが採用されました。
高圧で鍛造、押し出し加工、圧延加工をはじめ多くの方法で塑性加工を要求される工具に対し、HV3600を超える超高硬度膜より、約2μmという極薄膜を形成する事で工具形状の大きな設計変更をすることなく耐久性の向上が図れます。
また、S-CrN膜は1200℃を超える耐熱性で様々なドライ塑性加工工具や切削工具に幅広く用いられています。
錠剤加工用パンチ
私たちが体調を崩した時に服用する薬の形成に用いられるパンチに耐摩耗性と離型性に優れたCrN膜を提供しており、更なる耐久力向上としてS-CrNが採用されました。
クロムは人体適合性と科学的安定性より医療の分野でも幅広く用いられており、医療器具や薬の成型工具にCrN膜は活躍しています。特に薬の成型工具では粉末材料の高圧縮成形に耐摩耗・離型性に富んだS-CrN膜を施し耐久性を向上しています。
S-CrN膜は優れた密着性・耐摩耗性・耐凝着性に加えて科学的安定性より様々な分野でCrNの次世代型被膜として幅広く用いられています。
推奨する対象製品
工具
・ドライ塑性加工用パンチ等