S-DLC(Super – DLC)

S-DLCは弊社で一般的に提供しているC系コーティングのDLC(ダイヤモンドライクカーボン)皮膜です。
DLCとは“ダイヤモンドの様な炭素”膜であり、ダイヤモンドのような高硬度による優れた耐摩耗性とグラファイトのような低い摩擦係数(低μ)の特徴を兼ね備えたトライボコーティング膜(トライボロジー特性に優れた硬質薄膜)です。
弊社ではプラズマCVDを採用しており、水素を一部含有したa-C:H膜が主流となります。

S-DLC膜は15~50GPa程度の高硬度膜であり、特にドライ環境下での耐摩耗・低摩擦係数を有しています。
今まで課題であった膜密着性に関してはS-DLC膜の下地に応力緩和層としてMe-DLCを形成する事で優れた密着力を実現しています。また、超高硬度かつアモルファス構造による優れた耐デポ特性より高速・高圧摺動部品、燃料噴射ポンプ、機械要素部品への応用が可能となるばかりでなく、カーボン主成分の優れた生体適合性・耐食性より医療器具に採用されるなど、工産業から生活環境まで幅広く用いられています。

S-DLC(Super - DLC)の特長

DLCの最大の特徴である硬さ15~50GPa(水素含有DLC)は使用用途に応じて選択が可能です。相手材の耐力や負荷圧力・ドライ/油中環境など様々な用途に応じて最適膜特性を見出す事でDLC特性を最大に限に発揮する事ができます。
弊社では下記2種のラインナップを基本としておりますが、ご要望に応じて各種チューニングをいたします。

S-DLC(Super - DLC)の特長

S-DLCの各種成膜条件を調整しダイヤモンド構造側やグラファイト構造側へSP構造をチューニングできる。代表特性である硬度変動例を上図に示す。

ラインナップ

◆S-DLC 硬度18GPa程度

【ご相談下さい!】

※ダイヤモンド構造に近づける事で15~25GPa程度(もしくはそれ以上)の硬度調整が可能。
 ご使用になられる部品環境に応じて弊社独自の加速耐久試験より最適なS-DLC膜を提案致します。

S-DLCの応力緩和層やDLCの構成をダイヤモンド側へチューニングする事で硬度・特性調整が可能。

事例紹介

ドライブトレイン部品

エンジン燃料ポンプで高圧摺動する部品の摩擦摺動に対して、高圧負荷環境下での金属溶着に対して耐摩耗・耐デポ特性に優れたS-DLCが採用されています。
また、往復摺動するピストン部品やギア部品は油中環境下においても部品動作の切替え時に起きる境界潤滑時に面圧が最大となります。S-DLC膜は良質な耐摩耗特性で様々な摺動部品に幅広く用いられています。

金属シール部品

近年の自動車電動化・ハイブリッド化により従来と使用頻度が異なる製品が確認されています。頻度が飛躍的に増大する部品にはより耐久力が要求されており、ブレーキフールド内のシール部品もその一つに挙げられます。
油中での繰り返し動作によるキャビテーションエロージョンに有効なS-DLCコーティングが採用されています。